こんにちは。筆者のチャボンです。
この記事では主にアルゼンチンやウルグアイで、二人称「tú」の代わりに使われる「vos」の使い方 “VOSEO” を説明しています。
Vos ってなんだろう?
アルゼンチンやウルグアイのスペイン語では、「スペイン語」と一括りにするのがおかしく感じるくらい独特の発音や人称を持っています。
「vos」の存在はスペイン語学習者なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。一般的な「tú」の代わりに使われる二人称単数です。
同じ二人称単数とはいえ「tú」とは直説法現在と命令形の活用が異なります。どのように異なるのか見ていきましょう。
<チャボン(筆者)の情報>
- アルゼンチンに1年住んでいたことがある
- 世界12カ国25都市を訪れた
- スペイン語学習歴4年
Vos の由来
現在は二人称単数で使われる「vos」ですが、昔は王様などを相手に使われる「敬称」だったと言われています。しかし現在は限られた国で敬称の意はなく普通に使用されます。
スペインのアンダルシアやガリシアから影響を受けているとも言われていますが、はっきりはしていません。
また、スペイン本国で主に使われる二人称複数「vosotros」が元になっているとも言われています。
Vos の活用
では直説法現在と命令形における「tú」と「vos」の違いを見ていきます。
直説法現在の活用
まず、直説法現在形の活用です。最初に「tú」の表をご覧ください。
tú | 活用 |
---|---|
-ar動詞 | hablas |
-er動詞 | comes |
-ir動詞 | vives |
では問題の「vos」の活用です。
vos | 活用 |
---|---|
-ar動詞 | hablás |
-er動詞 | comés |
-ir動詞 | vivís |
何が違うの?
「vos」の活用は動詞の原形の「r」を「s」に変え、最後の母音にアクセントをうてば完成です。発音するときも最後のアクセントを意識しましょう。
「-ir」動詞に関しては「vosotros」の活用と全く同じです。
実は「vos」の活用には不規則なものは一切ありません。例えば「vienes」となるところも「venís」となります。
- Venir → venís
- Dormir → dormís
- Tener → tenés
- Querer → querés
- Acordar → acordás
「r」を「s」に変え、最後の母音にアクセントを打つだけなので、不規則動詞を覚えなくても良いという点では楽です。
命令形の活用
次に命令形の活用方法を説明します。先に「tú」の活用をご覧ください。
tú命令形 | 活用 |
---|---|
-ar動詞 | habla |
-er動詞 | come |
-ir動詞 | vive |
「tú」における命令形は三人称単数と同じ活用が使われます。
参考記事:スペイン語 tú と vosotros に対する肯定命令形まとめ
続いて「vos」の活用です。
vos命令形 | 活用 |
---|---|
-ar動詞 | hablá |
-er動詞 | comé |
-ir動詞 | viví |
一方で「vos」における命令形は、原形から「r」を取り除き最後の母音にアクセントをつけるだけで完成です。こちらも不規則活用は関係ありません。
厄介なのは、一部「-ir動詞」の一人称単数形(yo)の点過去と活用が被ってしまうことです。文脈で判断できますが、「vos」の活用を知らない人は混乱してしまうでしょう。
例:Yo dormí pronto.(私は寝た)と Dormí pronto.(早く寝なさい)。状況がわからないと主語をつけずには区別できません。
Vos を使う際の注意点
ここでいくつか注意点をあげます。
- 「Vos」を使うのであれば、活用と主語を統一しましょう。「*Tomas vos.」という風に「tú」の活用と混ぜて使うと変です。(この場合だと「Tomás vos.」)
- チリでは「vos」は喧嘩の場面などで使われ、相手を軽蔑するような言い方になります。最近は「vos」に対しての理解があるためそこまで問題ではないそうですが。筆者は一応チリ人と話す時、「vos」を使ってもいいかを確認しています。
- 「Vos」は普通は「ボス」ですが、アルゼンチンなどでは「s」の発音が消えることが多いので「ボ」と発音しましょう。
まとめ
以上が「tú」と「vos」の違いです。下にまとめを作ったのでご参照ください。
- 直説法現在:語尾の「r」を「s」に変え、最後の母音にアクセントをつける。
- 命令形:語尾の「r」を取り除き、最後の母音にアクセントをつける。
もっとアルゼンチンのスペイン語に興味がある方は以下からご覧ください。