【本当に同じ言語?】スペインと中南米諸国のスペイン語の違い9つ

こんにちは。筆者のチャボンです。

スペイン語を学ばれている方はご存知でしょう、「スペイン語は地域によってかなり異なる(訛り・方言がある)」ということを。

単語の意味をその都度聞くことも多々あるなど、本当に「スペイン語」と一括りにしていいのかと思うほど違います。

チャボン
チャボン

ただし一応、どの国でもある程度の意思疎通は問題なく取れるのでご安心を

この記事ではそんな魅力的で面白い言語「スペイン語」の地域ごとの主な違いを紹介していきます。

スペイン語を公用語としている国の一覧は〈スペイン語圏〜世界21の国と地域〜〉をご覧ください。

<チャボン(筆者)の情報>

  • アルゼンチンに1年住んでいたことがある
  • 世界12カ国25都市を訪れた
  • スペイン語学習歴4年

スペイン語の地域差と違い

*ここに出てくる「カステジャーノ」とは主にスペインの首都マドリード付近で話される、いわゆる「スペインのスペイン語の標準語」のようなものです。

「ceceo」か「seseo」か

1つ目の違いは「ceceo」か「seseo」かです。

それぞれの説明は以下をご覧ください。

ceceo→「ce, ci」「za, ze, zi, zo, zu」の発音が英語の「th」のように舌を少し噛む発音になる

seseo→「ce, ci」「za, ze, zi, zo, zu」の発音が「sa, se, si, so, su」と同じ発音になり、舌を噛まない

このように発音に大きな違いが生まれます。

「ceceo」は主にスペイン(カステジャーノ)、「seseo」は主に中南米で使われます。

「ll」と「y」の発音

2つ目の違いは「lla, lle, lli, llo, llu」と「ya, ye, yi, yo, yu」の発音です。

これは「スペインと中南米」という分け方が難しい項目です。というのも、同じ国の中でも発音が異なる場合があります。

スペイン、中米、南米北部、チリ→「リャ(rya)」と「ジャ(ja)」の間

ボリビアからアルゼンチン中部(コルドバ)付近まで→「ジャ(ja)」に近い

アルゼンチン東部・南部とウルグアイ→「シャ(sha)」に近い

カリブ海→「lla」は「リャ(rya)」に、「ya」は「ヤ(ya)」限りなく近い

語頭以外の「s」の発音

3つ目の違いは語頭以外の「s」を発音するか否かです。(正確には語頭と語中で母音の前につく「s」以外)

チャボン
チャボン

「impresión」など後ろに母音が続く場合は必ず発音するよ

こちらもスペイン国内であっても地域によって異なるため、「スペインと中南米」という分け方は少し違和感が生まれます。

スペイン(カステジャーノ)→ほぼ必ず「s」をはっきり発音する

スペイン(アンダルシア地方)→「s」が抜けることが多い

中米(パナマ以外)とボリビア・ペルー・エクアドル→発音するがカステジャーノほどはっきりしない

パナマ・コロンビア・ベネズエラ→「s」が抜けることが多い

カリブ海→95%以上「s」を発音しない

チリ・アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイ→「s」を発音しない方が多い。また、スペイン語の「j, g」に近い発音になる場合もある

このように地域差がかなり出ます。特徴的な国に行くと、慣れるまでにある程度の時間が必要でしょう。

例えばカリブ海では、「estamos」が「*ettamo」のようになり、アルゼンチンでは「*ejtamoj」のような発音になります。

「vosotros」か「ustedes」か

4つ目の違いは「君たち」という意味で「vosotros」が使われるか「ustedes」が使われるかです。

vosotros→二人称複数形。「vosotros」専用の動詞の活用がある。

ustedes→三人称複数形。「ellos, ellas」と同じ活用。

「vosotros」は主にスペイン(カステジャーノ)、「ustedes」は主に中南米で使われます。

スペインで「ustedes」を使うと「あなたがた」という意味で、「敬語」に当たる表現になります。

「tú」か「vos」か

5つ目の違いは二人称単数「君」という時に「tú」を使うか「vos」を使うかです。

ただし、「vos」が使われる国はかなり限られるので、「tú」を覚えておけば問題ありません。

vos」→アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイと中米の一部

」→その他

「vos」の動詞の活用は「tú」のそれと大きく異なります。

「vos」について詳しく知りたい方は〈アルゼンチンのスペイン語「vos」を使いこなそう〉をご覧ください。

ちなみに、コロンビアでは「tú」と「vos」の代わりに、本来敬語に当たる「usted」を「君」という意味で使うそう

時制の違い

6つ目の違いは時制の違い、つまり「現在完了形」を使うか「点過去形」を使うかです。

スペインで「現在完了形」を使う場面で、中南米では「点過去形」を使うことがあります。

スペイン→Hoy hemos visitado a un museo famoso.

中南米→Hoy visitamos a un museo famoso.

意味:「今日私たちは有名な美術館を訪れた。」

スペイン→He comido este plato.

中南米→Comí este plato.

意味:「この料理を食べたことがある。」

*ただし、毎回このような変化が起こるわけではなく、中南米でも「現在完了形」が使われる場合もある。また、中南米の中でも地域差はある。

話す速度

7つ目の違いは話す速度で、人によって異なるのではなく、国によって異なる場合が多いです。

スペイン・ペルー・エクアドル・チリ→超高速

アルゼンチン・ウルグアイ→そこそこ速い(*1)

中米とコロンビア→少しゆっくりめ

その他→速くも遅くもない

少し主観が入っている部分や不明な部分もありますが、ある程度はこの通りです。

その国に行った場合、スペイン語を日本で学習済みであっても現地のスペイン語に慣れる必要があります。

(*1)アルゼンチン国内でも都市によって異なり、ブエノスアイレスや南部(パタゴニア地域)では速めだが、コルドバや北部ではゆっくりめ

アクセント

8つ目の違いはアクセントです。これは「スペインと中南米」という分け方はできません。全ての国でそれぞれ独特なアクセントを持っています。

以下の動画は各国のスペイン語のアクセントを真似している動画です。面白いのでぜひ見てみてください。

*動画は0:49から始まります。

語彙・単語

最後の違いは使用される「語彙・単語」です。

これに関しては、訪れた国の単語を覚えるしか方法はありません。

以下で主な単語の違いを紹介します。

スペイン→coche

メキシコ→carro

アルゼンチン→auto

バス

スペイン→autobús

メキシコ→camión

ドミニカ共和国→guagua

チリ→micro

アルゼンチン→colectivo, bondi

ここ

スペインなど→aquí

アルゼンチンなど→acá

ナイトクラブ

スペイン、チリなど→discoteca

メキシコ→antro

アルゼンチン→boliche

*「boliche」はメキシコでは「ボウリング」の意味になる

すばらしい

スペイン→¡Qué guay!

メキシコ→¡Qué padre!

南米→¡Qué lindo!

バナナ

スペイン→plátano

中南米→banana

スペイン→melocotón

中南米→durazno

携帯電話

スペイン→móvil

アルゼンチンなど→celular

まとめ

以上が地域によるスペイン語の主な違いです。

ある日、キューバ人とアルゼンチン人が話しているときに、キューバ人が

キューバ人
キューバ人

完璧には理解できない部分もあるけれど、それがスペイン語のいいところでもあるよね

と言っていました。ネイティブ同士でもこのように感じるそうです。

このように「スペイン語」は無限大の可能性を持っている魅力的な言語です。

そんなスペイン語を楽しく学んでみませんか?

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