こんにちは。今回はスペイン語の冠詞について書いていきたいと思います。スペイン語には2種類の冠詞が存在します。定冠詞と不定冠詞です。あまりにもボリュームがありすぎるので二つの記事に分けて説明します。
後編はこちら:スペイン語冠詞後編〜冠詞の応用と無冠詞〜
そもそも冠詞とは?
冠詞とは、例えば la calle の「la」に当たるものです。男性名詞や女性名詞、または単数・複数、可算名詞・不可算名詞、特定・不特定など条件によって前につくものは変わります。どちらを使えばいいかはわかりやすく場面ごとに分けて説明するのでじっくり学んでください。
(単数/複数) | 定冠詞 | 不定冠詞 |
---|---|---|
男性名詞 | el/los | un/unos |
女性名詞 | la/las | una/unas |
この記事をより理解するために、先に下の記事を読まれることをオススメします。男性名詞と女性名詞について詳しく書いています。
不可算名詞・可算名詞とは
最初に簡単に二つの種類の名詞に分けて説明します。
不可算名詞:いわゆる数えられない名詞というものです。「喜び」や「時間」などは数えようがないですよね。何を基準に数えればいいかわかりません。そのような概念のようなものは基本不可算名詞です。
可算名詞:数えられるすべてのものです。例えば「本」や「ペン」は2冊や5本などと数えることができます。これらの名詞は可算名詞と言います
不特定(初出)・特定(既出)と不定冠詞・定冠詞の関係
これは特に用語というわけではありません。初出・既出でも構いません。
不特定(初出)は話し手のみが知っている事項で、初めて会話に出てきた名詞です。例えば「その男がさぁ」と全く知らない人のことを話し手が急に言っても、聞き手にとってはそれがどの男なのか知りません。この時に不定冠詞が使われます。単数形は「一つの、ある〜」という意味ですが、複数形は「いくつかの」という意味になります。
(un/unos, una/unas)
特定(既出)はお互い共通の認識がある事項で、以前その名詞が出ていたりする時です。また、文脈からどれを指しているのかわかる時です。例えば、前に「アルゼンチン人のマリアという人が素敵な人」という会話をしていたとして、「その女の子がさぁ」というときはこっちです。この時に定冠詞が使われます。
(el/los, la/las)
主語として使われる名詞
では本題に入ります。まずは名詞が主語として使われる場面を紹介します。
可算名詞の時
一つ目は名詞が主語として使われ、かつ可算名詞の時です。この場合は
(単数/複数) | 特定 | 不特定 |
---|---|---|
男性名詞 | el/los | un/unos |
女性名詞 | la/las | una/unas |
となります。例を見ていきましょう。
Ayer me llamó un chico. 「昨日男の子が私に電話をかけてきた。」聞き手はその男の子を知りません。
Ayer me llamó el chico. (el chico que conociste ayer.) 「昨日その男の子が電話をかけてきた。」(聞き手が昨日知り合った男の子)などの背景がある。
例文は男性名詞の単数形ですが、複数形になったり女性名詞になっても使い方は同じです。
不可算名詞の時
次に名詞が主語として使われ、かつ不可算名詞の時です。この場合は
特定 | 不特定 | |
---|---|---|
男性名詞 | el | el |
女性名詞 | la | la |
となります。不可算名詞で数えられないので複数形にはなりません。また、「一つの」という意味も持つ「un/una」などの不定冠詞にはできません。すべて定冠詞の単数です。
El tiempo es muy valioso. 「時間はとても貴重だ。」
直接目的語として使われる名詞
もう一つの名詞の使われ方として「名詞が直接目的語として使われる場面」を紹介します。とりあえず直接目的語は「〜を」に当たる部分だと思ってください。(全てがそれに当てはまるわけではないですが最初はこれで大丈夫です。)
関連記事:スペイン語直接目的語と間接目的語
可算名詞の時
三つ目は直接目的語で使われ、かつ可算名詞のときです。
(単数/複数) | 特定 | 不特定 |
---|---|---|
男性名詞 | el/los | un/× |
女性名詞 | la/las | una/× |
不特定(初出)の複数が存在しません。
「私は明日本を読みます。」
→ Mañana voy a leer libros. (どの本か分からない)
→ Mañana voy a leer los libros. (以前話題にあがった複数の本)
「私は明日シャツをあげます」
→ Mañana te doy una remera.(なんのシャツか分からない)
→ Mañana te doy la remera. (以前話題にあがったシャツ)
ただし不特定の複数が全くないというわけではなく例外もあります。それは「いくつか」ということを特に強調したいときです。
実際に例をあげると
「私は明日何冊か本を読みます。」
→ Mañana voy a leer unos libros. (「何冊か」を強調)
です。状況によって使い分けましょう。
不可算名詞の時
四つ目は直接目的語で使われ、かつ不可算名詞の時です。
(単数/複数) | 特定 | 不特定 |
---|---|---|
男性名詞 | el | × |
女性名詞 | la | × |
特定(既出)の単数形しか存在しません。
「私はお腹が空いている」→ Tengo hambre.
「私は肉を買う」→ Compro carne.
「祖父がお金をくれた。私は全て使い果たした。」→ Mi abuelo me dio plata. Gasté toda la plata.
最後の「la plata」は前に「祖父がくれたお金」として出ているので定冠詞がつきます。
*ただし例外として「凄まじい」という形容詞などのある一つを特定するものが名詞の後ろにくると不定冠詞がつきます。
「私は信じられないくらいお腹が空いている。」→ Tengo un hambre increíble.
まとめ
いかがでしたか?すごく量が多くややこしいですが、一つずつ覚えていけば全く問題ありません。何回も繰り返してじっくり覚えていきましょう。