こんにちは。筆者のチャボンです。この記事ではスペイン語にある3種類の義務を表す用法を説明しています。
「義務を表す」とはつまり「〜しなければならない」ということです。(英語でいう have to や must)日本語ではこの語末だけで義務を表すことができますが、スペイン語では使い方によって意味合いが変わってくるものがあります。
さて、スペイン語にある3種類の義務ですが、それは「hay que+不定詞」「tener que+不定詞」「deber+不定詞」です。
不定詞については以下の記事をご覧ください。
それぞれの違いを例文とともに見ていきましょう。
1. Hay que+不定詞(一般的な義務)
まず一つ目は「hay que」です。見出しにもあるように結論から言ってしまうと「hay que」は一般的な義務を表す時に使います。
一般的な義務とは、その人個人の問題以外で必ずしなければならないことです。
例:「日本からアルゼンチンに行くときは船か飛行機に乗らなければならない。」
ある人だけが船や飛行機に乗らなければいけないのではなく、海があるので必ず乗る必要があります。
このように「誰もがしなければならない場面」では「hay que」が使用されます。
ではスペイン語の文章で例を見てみましょう。使用時の注意点として「hay que」のあとは必ず不定詞が必要です。
Hay que sacar pasaporte para viajar a otro país.
→海外を旅行するにはパスポートを発行する必要がある。
Hay que trabajar mucho para vivir mejor.
→より快適に過ごすにはたくさん働かなければならない。
2. Tener que+不定詞(特定の人の義務・強)
次は「tener que」です。先ほどの「hay que」とは打って変わり、「tener que」は特定の人の義務を表す時に使います。
かなり義務感が強く感じられます。
例:「今財布の中が空なので明日私は銀行へ行かなければならない。」
これは「私」が明日どうしてもお金が必要という場面であり、他の人は必ずしもそうとは限らない状況です。
このように「個人的にしなければならない場面」では「tener que」が使用されます。
「tener que」も後ろに続くのは不定詞です。また、「tener que」は誰の義務かによって動詞を活用する必要があります。
参考記事:スペイン語不規則動詞の活用〜tener、venirタイプ〜
Ya tenemos que irnos.
→私たちはもう行かなければならない。
Tengo que tomar este tren.
→私はこの電車に乗らなければならない。
3. Deber+不定詞(特定の人の義務・弱)
最後は「deber」です。先ほどの「tener que」同様、「deber」も特定の人の義務を表す時に使います。
では違いは何なのでしょうか?
↓↓↓
スペイン人が書いた記事を見てみたところ、「deber+不定詞」は「tener que+不定詞」より義務感が弱いとありました。
日本語に直すと両方「〜しなければならない」と訳されるかもしれませんが、「deber」の方は「〜するべき」というニュアンスを持っています。
例:「君は早く寝なければならない→早く寝るべき」
このようにどちらかといえば助言をする感じがします。
ではスペイン語で例文を見ていきましょう。「deber」も主語が誰かにより動詞を活用させます。
No debes decir cosas así.
→(君は)そんなことを言うべきではない。
Debemos estudiar más para aprobar.
→私たちは合格するためにもっと勉強しなければならない。(勉強すべきだ。)
Deber+不定詞の応用〜婉曲表現〜
ここで一つ「deber+不定詞」の応用を紹介します。日本語でも毎回義務を押し付けられると心が疲れますよね。「もう少し遠回しに言ってくれてもいいのに」と。
スペイン語にももちろん婉曲の言い方がありそれは過去未来系を使った形です。これを使うことにより、「したほうがいいかもしれない」という婉曲表現にすることができます。
過去未来形の活用はこちら↓
人称 | 活用 |
---|---|
yo | debería |
tú | deberías |
él, ella, usted | debería |
nosotros | deberíamos |
vosotros | deberíais |
ellos, ellas, ustedes | deberían |
*過去未来形は一人称と三人称の単数形が同じなので主語を言ったほうがいいです。
ではスペイン語の例文をご覧ください。
Deberías venir a Japón al menos una vez.
→(君は)少なくとも一回は日本に来るべきかもしれない。
Yo debería salir de casa más temprano.
→私はもっと早く家を出たほうがいいかもしれない。
まとめ
以上がスペイン語の3種類の義務を表す用法の違いです。復習用に以下のまとめ欄をご参照ください。
「hay que+不定詞」→一般的にしなければならない義務
「tener que+不定詞」→特定の人がしなければならない義務(強)
「deber+不定詞」→特定の人がしなければならない義務(弱)。「〜すべき」という助言の意を含む